美容内科で肥満症の改善のために用いられることのあるお薬として、食欲抑制薬と脂肪吸収阻害剤があります。日本で唯一、肥満症治療薬として承認※されている薬は食欲抑制薬に分類されています。※食事・運動療法で効果不十分な肥満患者に対して
美容内科で処方されることもあり魅力的な効果を持つ薬ですが、薬であるからには副作用や禁忌も存在しています。そこで今回は食欲抑制薬と脂肪吸収阻害剤の効果だけではなく、作用機序や副作用について解説していきます!
肥満とは?
肥満度はBMI(Body Mass Index)を用いて判定されます。また肥満は「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの」として定義されています。
しかし、同じBMIであっても脂肪のついている部位によって健康リスクが大きく異なります。肥満のタイプ『内臓脂肪型(リンゴ型)』『皮下脂肪型(洋ナシ型)』のうち、特に『内臓脂肪型』の方は生活習慣病の発症リスクが高く注意が必要です。
食欲抑制薬
効果
食欲を抑制し肥満の方の食事・運動療法補助
作用機序
脳の間脳には視床と視床下部が存在しています。視床下部はホルモン分泌と自律神経系の調整することで体温・血圧・血糖値などの調整や、摂食・飲水・性・睡眠などの本能および情動行動を司っています。
食欲抑制薬は視床下部で、摂食中枢への直接作用+満腹中枢を刺激する神経伝達物質の濃度を上げることで、食欲抑制作用および消化吸収の抑制作用を示します。
副作用
重大なものとして依存性や肺高血圧症、よく見られるものとして口の渇きや便秘などがあります。
禁忌
緑内障、重度の心・膵・腎・肝障害のある方、脳血管障害のある方、重度の高血圧症の方、統合失調症患者、妊婦、小児
脂肪吸収阻害剤
効果
食事で摂取した脂肪の吸収を阻害し食事・運動療法補助
作用機序
まず食事に含まれる脂肪の多くは中性脂肪(TG)のかたちで存在しています。TGが体内に吸収される第一段階として①胃から十二指腸(小腸の一部)に至り胆汁(胆のうから分泌)と反応し吸されやすい状態(乳化TG)になります。次に乳化TGは第二段階として②消化酵素リパーゼ(膵臓から十二指腸に分泌)と反応しサイズの小さい脂質に分解され小腸に吸収されます。
脂肪吸収阻害剤は①②のうち、②の消化酵素リパーゼの働きを阻害することで、小腸からの脂肪吸収を阻害します。
副作用
重大なものとして重篤な肝障害、よく見られるものとして下痢や脂肪便があります。
禁忌
吸収不良症候群の方、胆汁うっ滞の方
※肥満治療をする際には自己判断は避け、医師の指示のもと適切な治療を受けることを推奨いたします。