Vol.5 ニキビ治療について解説いたします!
ニキビは思春期の悩みだと思っていたら、大人になっても繰り返しできるニキビに悩まされているという方も多いのではないでしょうか。
ニキビに効く化粧品、クリーム、パッチなど市販で試せるニキビケア商品はたくさんありますよね。
しかし、ニキビはれっきとし疾患であるため、自己流のケアより皮膚科で治療を受けることが改善の近道かもしれません。
今回はニキビでお悩みの方に向けて皮膚科(美容皮膚科)でのニキビ治療について解説いたします!
✧ニキビとは
ニキビは尋常性ざ瘡と呼ばれる皮膚疾患であり、皮膚の慢性炎症性疾患の一つです。
皮脂が溜まった毛穴に、アクネ菌などの細菌により炎症が起こった状態のことを指します。
✧ニキビの原因
①皮脂の分泌が盛んになる→②毛穴の周りが厚くなり毛穴が詰まりやすくなる→③毛穴が詰り皮脂が溜まると毛穴の中でアクネ菌などが繁殖する→炎症が生じる。
思春期ニキビも大人ニキビも何らかの原因で①②③を引き起こすことで生じています。
〇思春期ニキビ
部位:額から鼻にかけてのTゾーン、こめかみ、頬骨付近など皮脂分泌が盛んな部位にできることが多い。
原因:
・思春期になり男性ホルモンが活発化することで皮脂腺が刺激され皮脂の分泌が盛んになる。
<女性>生理前に黄体ホルモンが優位(卵胞ホルモンと比べ)になると、皮脂腺に作用し皮脂の分泌が盛んになる。
〇大人ニキビ(思春期後ざ瘡)
部位:頬、あご、首などのフェイスラインに沿ってU字型にできることが多い。
原因:
・肌のターンオーバーの遅れ、紫外線、化学的刺激により角質層が厚くなると毛穴が狭くなり皮脂分泌が正常でも毛穴が詰りやすくなる。
・睡眠不足、不規則な生活などによるストレスにより脳が刺激を受け、副腎皮質からの男性ホルモン分泌が促され皮脂の分泌が盛んになる。
・肌が乾燥していると、これを補う働きである皮脂の分泌が過剰になることがある。
・合わないスキンケア、髭剃り、紫外線のバリア機能を担う角質層が傷つくと、細菌が侵入しやすくなりニキビの原因となる。
・メイクによりニキビの炎症が悪化することもある。
<女性>生理前に黄体ホルモンが優位(卵胞ホルモンと比べ)になると、皮脂腺に作用し皮脂の分泌が盛んになる。
上記からも分かるように大人ニキビは思春期ニキビに比べ原因が複雑であるため、生活習慣の改善を含めた複合的な治療が必要となります。
✧ニキビの症状と治療
ニキビは毛穴の詰り~炎症性ニキビまで各段階で症状が異なります。
またニキビの出来ているお肌には多くの場合、各段階のニキビが混在しています。
~ニキビの流れ~
角質層への刺激により角質層が厚くなり(異常角化)毛穴が狭くなる
or
毛穴の中の皮脂腺から皮脂が過剰に分泌される
↓
<微小面ぽう>
毛穴に目に見えない小さな角栓詰りができる
↓
<閉鎖面ぽう(白ニキビ)>
毛穴にさらに皮脂が溜まり目視できるほどになる
↓
<開放面ぽう(黒ニキビ)>
毛穴の皮脂が収まり切らず外に溢れだし酸化、黒ずむ
↓
皮脂を栄養とするアクネ菌が毛穴の中で増殖し炎症が起こる
↓
<赤色丘疹(せきしょくきゅうしん)>
いわゆる赤ニキビができる
↓
<膿疱>
赤ニキビを放置すると化膿した黄ニキビに変化する
この状態まで進むと治療後にニキビ跡や色素沈着を起こす恐れがある
✧ニキビ治療
ニキビは各段階に応じて適した治療を行う必要があります。
〇保険治療
・面ぽう(コメド、白ニキビ、黒ニキビ)に対する治療
外用薬:毛穴の詰りを改善する
ナフトエ酸誘導体の外用剤 過酸化物とナフトエ酸誘導体の混合外用剤
・面ぽう(白ニキビ、黒ニキビ)~赤ニキビ、黄ニキビに対する治療
外用薬:毛穴の詰りを改善、皮脂の分泌を抑えることでアクネ菌の増殖を抑える
過酸化物とナフトエ酸誘導体の混合外用剤 過酸化物の外用剤
過酸化物とリンコマイシン系抗菌薬の混合外用剤
・赤ニキビ、黄ニキビに対する治療
外用薬:アクネ菌を減少させ炎症を抑える
過酸化物とリンコマイシン系抗菌薬の混合外用剤
リンコマイシン系抗菌薬の外用剤 キノロン系抗菌薬の外用剤
内服薬:アクネ菌を減少させ炎症を抑える
テトラサイクリン系抗菌薬の内服
〇自費治療
内服薬:抗男性ホルモン利尿薬(男性ホルモン抑制剤) ビタミンA誘導体内服薬
その他:ケミカルピーリング レーザー
〇生活の中で気を付けること
特に大人ニキビは生活習慣やストレスなどとの関係が深いため、規則正しい生活、肌の保湿、睡眠の確保、ストレス対策など日々の生活でのケアを治療と並行して行うことが重要です。
今回は美容皮膚科でのニキビ治療について解説しました!
ニキビの改善に医薬品を使った治療という選択を皆さまに示すことが出来たのではないでしょうか。
ニキビは思春期から大人に至るまで多くの人悩ませている疾患です。
原因も乾燥、生活習慣、ホルモンバランスなど様々で、何度も繰り返す方も少なくないため、適切な治療のためにもまずは皮膚科を受診することをおすすめしています。