ドリンク剤をよく飲まれる方必見:カフェイン過剰摂取の危険性
ドリンク剤とカフェイン過剰摂取
~カフェインを摂り過ぎると何が起こるのか~
皆さんは栄養ドリンクを飲むことがありますか?
飲むと元気な気分になったり、気合が入るからと愛飲している人も多いと思います。
瓶入りのものの他に、最近では缶入りのエナジードリンクと言う名前のジャンルのものも増えています。
一方で、栄養ドリンクやエナジードリンクの飲み過ぎによるカフェインの過剰摂取や、それに伴う国内死亡例も報告されています。
今回は、栄養ドリンクやエナジードリンクを安全に飲んで頂くために役立つ知識をお伝えします。
【栄養ドリンクとエナジードリンクの違い】
栄養ドリンクとエナジードリンクいずれも称するのに法律上の基準はありません。
しかし傾向として、栄養ドリンクには清涼飲料水と表示されるもの以外にも、
医薬品・医薬部外品表示されるものがあり、エナジードリンクは清涼飲料水がほとんどとなっています。
栄養ドリンク :清涼飲料水、医薬部外品、一部医薬品など
エナジードリンク:主に清涼飲料水
栄養ドリンクやエナジードリンクに含まれる主な成分は、カフェイン、タウリン、
グルクロノラクトン、ガラナ、ビタミンなどです。
このうちビタミン含有保健剤として医薬部外品、医薬品登録されている商品については
ビタミン、タウリン、カフェインなどの有効成分の1日最大分量、最小分量の基準が設けられています。
一方、清涼飲料水などとして販売されているエナジードリンク等には、有効成分の基準がありません。
とりわけカフェインの含有量の制限が無いことが健康被害に繋がるのではと危惧されています。
カフェイン水和物、無水カフェイン
医薬部外品(ビタミン剤):1日最小分量5 mg 1日最大分量50mg
清涼飲料水:基準なし
【カフェインは過剰摂取により体に悪影響】
前述のように、カフェインは短時間のうちに多量に摂取すると、体調に悪影響を及ぼすことがあります。
しかしカフェインを摂ると有用な点もあるのも事実です。
過剰摂取時の症状:めまい、心拍数増加、興奮、不安、震え、不眠、下痢、吐き気等
適切な摂取による効果:眠気が覚める、頭がすっきりする
そこで有用な作用、害になる作用も含め、カフェインの作用について詳しく解説していきたいと思います。
【カフェインの作用機序】
カフェインは、抑制性神経伝達物質であるアデノシン、に類似した構造を持ちます。
そのためカフェインがアデノシンの代わりにアデノシン受容体と結合することで、
アデノシン-アデノシン受容体結合による神経抑制が遮断され、神経細胞が興奮します。
アデノシン受容体は中枢神経系(脳など)や腎臓など身体の部位にあり、どこにあるかによって現れる作用が異なります。
アデノシン受容体遮断作用
中枢神経系:覚醒作用
心臓:心機能亢進
平滑筋:末梢血管拡張、気管支筋弛緩作用
腎臓:利尿作用
骨格筋:筋収縮
消化器:胃酸分泌亢進
上記からカフェインを過剰摂取するとカフェイン中毒を引き起こし
胃酸分泌亢進→嘔吐、心機能亢進→脈が激しくなる
などの症状が現れ得ることがわかります。
【カフェインを安全に摂取するために】
カフェインについて、個人差が大きいことなどから、日本においても、国際的にも、
生涯摂取し続けたとしても健康に悪影響が生じないと推定される
一日当たりの摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)の設定はなされていません。
しかしながら、カフェインの摂取に関しては、各国の保健機関、国際機関等からアドバイス、注意喚起がされています。
カナダ保健省(HC 2010年) 1日あたりのカフェイン摂取量
健康な成人:400 mgまで
妊婦や授乳中、妊娠予定の女性:300mgまで
上記の摂取量やご自身の体感等を参考にして、カフェインの適切な摂取を心がけることが大切です。
またカフェインの過剰摂取によるものと思われる症状が現れた場合は、
直ちに医療機関を受診することをお勧めします。
【参考】
栄養ドリンクやエナジードリンク以外にも、普段口にする飲み物にもカフェインが含まれています。
ご自身の1日の摂取量を意識しながら安全にカフェインを摂取するのに役立ててもられると幸いです。
カフェインの推奨摂取量と各飲み物に含まれるカフェインの量
インスタントコーヒー 1杯当たり80 mg
コーヒー 60 mg/100 mL
紅茶 30 mg/100 mL
せん茶 20 mg/100 mL
ほうじ茶 20 mg/100 mL
ウーロン茶 20 mg/100 mL
玄米茶 10 mg/100 mL