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利尿薬の種類と副作用

利尿薬は文字通り体内からの尿の排出を促進する作用を有する薬です。
主として腎臓にある尿細管に作用してNa+・水の排泄を促進する薬とも言えますが
作用機序の違いから注意すべき副作用も異なってきます。
現在日本では約3人に1人が高血圧であること、利尿薬が主に高血圧の患者に対し使用されていることをふまえ、
今回は主な利尿薬について解説していきます。


【水・ナトリウムイオンの再吸収】

腎臓は循環血液をろ過し、余分な水分や老廃物等を尿として対外に排出する働きを持ちます。
腎臓を構成する一部である尿細管ではナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、
水素イオン(H+)、塩化物イオン(Cl⁻)、リン、重炭酸イオンなどのうち
体に必要な分は尿中→血液中に再吸収し、余分な分を血液中→尿中に排出しています。
尿細管ではいくつかの組み合わせでイオンの交換が行われているので、それらを以下①~④に示しています。

      (尿細管内)
①(尿中)Na+ 水 ⇄ H+(血液中)   炭酸脱水素酵素阻害薬
②(尿中)Na+ 水 Cl⁻ →(血液中)   チアジド系利尿薬
③(尿中)Na+ 水 Cl⁻ K+ →(血液中) ループ利尿薬
④(尿中)Na+ 水 ⇄ K+(血液中)    抗アルドステロン薬 Na+チャネル遮断薬

右側に記載しているのはそれぞれのイオン交換を阻害・抑制している利尿薬です。

体内では(尿中)K+⇄Na+(血液中)のようにK+と Na+を交換しバランスを取っています。
①②③で(尿中)Na+→(血液中)の機構が阻害されると、 尿中のNa+の濃度が上昇してしまいます。これを打ち消そうと(尿中)Na+⇄K+(血液中)が進行します。
つまりK+にだけ着目すると(尿中)K+←(血液中)が進行するため、血液中のK+濃度が低下する低K血症を起こしやすくなるのです。

これを元にそれぞれの利尿薬の使用上の注意・副作用を次で示します。


【主な利尿薬】

・炭酸脱水素酵素阻害薬
副作用:低K血症 尿路結石
使用上の注意:緑内障治療薬として使われることもありますが、その際にも就寝前の服用は控えて下さい。

・チアジド系利尿薬
副作用:低K血症 高血糖 高尿酸血症 光線過敏症
使用上の注意: 就寝前の服用は控えて下さい。

・ループ利尿薬
副作用:低K血症(一部起こしにくい薬あり)高血糖 高尿酸血症 光線過敏症
使用上の注意:就寝前の服用は控えて下さい。

・抗アルドステロン薬
副作用:高カリウム血症、女性化乳房 
使用上の注意:就寝前の服用は控えて下さい。

・Na+チャネル遮断薬
副作用:高カリウム血症 
使用上の注意:就寝前の服用は控えて下さい。

【低K血症】

症状:軽度の場合はほとんど症状が現れませんが常用によりふらつき、痙攣、不整脈低などが見られ、
重度になると麻痺・呼吸不全に至ることもあります。
特に貧血や低血圧など普段から似たような症状がある方は、低K血症の症状だと認識しづらい場合があるかもしれません。

予防・治療法:経口カリウム製剤の摂取等
※Kの補充が必要かどうかは受診中の医療機関等で相談されることを推奨します。

利尿薬は循環血液量を減少させるため、浮腫や高血圧の治療に用いられますが 注意すべき副作用もあります。
使用には医療機関を受診し体調に注意することが大切です。