ビリビリジンジンン…神経障害性疼痛について解説いたします!
「寒くなって腰や首筋がビリビリ痛む」
「ケガをしていないのに腰がチクチク痛む」
「すこし触れただけで皮膚がヒリヒリする」
こんななかなか治らない痛みにお悩みなら「神経障害性疼痛」かもしれません。神経障害性疼痛と通常の怪我などによる痛みでは原因も鎮痛薬も異なります。そこで今回は実は「神経障害性疼痛」だった時に役立つ解説をしていきます!
痛みの種類
痛みは、痛みを引き起こす原因によって大きく2種類に分けられます。
侵害受容性疼痛
体の各組織が損傷を受けると、組織にある末梢神経の侵害受容器を刺激する発痛物質が分泌されます。侵害受容器が刺激されれるとこの刺激(信号)が脊髄を通って大脳皮質の一時体性感覚野などに伝えられ痛みを感じます。
このように組織の刺激が脳に伝わる侵害受容性疼痛は、さらに皮膚/骨/筋肉のケガなどで生じた痛み(体性痛)と内臓で内圧上昇や炎症が生じた痛み(内臓痛)に分けられます。
神経障害性疼痛
侵害受容性疼痛は体の組織が原因で生じるの対し、神経障害性疼痛は “神経自体”が何らかの原因で刺激を受け脳に信号が届いてしまうことで体の組織に異常がなくても生じる痛みです。
神経障害性疼痛
どんな痛み?
- ・焼けるようなヒリヒリした痛み
- ・刺すようなチクチクした痛み
- ・電気が流れているようなビリビリした痛み
- ・軽く触れる、熱い、冷たいなど通常はなんともない刺激で生じる痛み
- ・患部に感覚の低下やむくみを伴う痛み
原因となる疾患・病変は?
- ・腰部脊柱管狭窄症、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、三叉神経痛・腫瘍などによる神経圧迫
- ・糖尿病による神経損傷
- ・帯状疱感染後のウイルスによる神経損傷 等
どんな人に多い?
40代以上の方に多く、日本では推定約600万人の方が患っています。
神経障害性疼痛は冬に悪化する?
冬になり気温が下がると血管が収縮し血の巡りが悪くなるため、筋肉が硬くなります。すると筋肉の間を通っている末梢神経が圧迫され神経への刺激が増すことがあります。
治療法は?
薬物療法、理学療法(リハビリなど)、手術療法などがありますが、主な治療法は薬物療法です。
薬物療法
第一選択薬
- ・Ca2+チャネルα2σリガンド:神経障害性疼痛治療薬
- ・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の一部、三環系抗うつ薬の一部:抗うつ薬
このうちCa2+チャネルα2σリガンド、SNRIは痛みに伴う不眠、抑うつ、不安の改善作用も示されておりQOLの改善効果が認められています。
第二選択薬
・弱オピオイド鎮痛薬
- QOLの改善効果が認められています。
- オピオイド鎮痛薬の中では精神依存が非常に居りにくいと言われていますが、長期の服用には注意が必要です。
- オピオイド鎮痛薬共通の副作用(便秘、眠気、嘔吐)が軽度
第三選択薬
・その他のオピオイド鎮痛薬
- オピオイド鎮痛薬共通の副作用(便秘、眠気、嘔吐)および精神依存がみられるため、ガンによる疼痛やほかの薬では効かない強い痛みへの使用が認められています。
- 鎮痛およびQOL改善効果とのバランスをみながら服用することが大切です。
今回は「神経障害性疼痛」について解説いたしました!内容を読んでもしかしたら?と思われた方は、自己診断は避け医療機関の受診の上適切な治療をお受けになることをおすすめいたします。