毒シリーズ第3弾!フグの毒!
毒シリーズ第3弾はフグの毒です。
美味しいですが、その毒は非常に強力
日本での食中毒の原因のほとんどは、キノコかフグです。
フグはとても美味しいですが、周知のようにごく少量でも死に至る
非常に強力な毒を持っています。
寒さも増し、いよいよ冬本番といった気候になってまいりました。
今回は毒シリーズ第3弾として、冬に旬を迎える食材としても
知られる高級魚「フグ」の毒をご紹介します。
「フグは食いたし、命は惜しし」という言葉もあるように、
フグは大変美味でありながら、命にかかわる毒を持つことは
多くの人が知るところ。
フグによる食中毒は日本における食中毒事件の半数以上を占め、
年間30件近く発生し、そのうちの数名が死亡しています。
発症数が多い理由の一つに、フグは種類や地域、季節、さらには個々に
有毒部位が異なる場合があることが挙げられます。
免許を持たなければ調理自体禁止されてますが、素人判断で有毒部を
食べてしまうケースが多いそうです。
※肝臓は種類を問わず有毒部位です。
フグ毒の正体は「テトロドトキシン」という神経毒です。
フグ自身の体内で産生されたものではなく、細菌によって産生され、
エサとなるヒトデや貝類を通して生物濃縮され、フグの体内に
蓄えられると考えられます。
恐ろしいことに、その致死量はわずか1~2mgと推定されています。
神経細胞や筋線維の細胞膜に存在するナトリウムチャネルに結合し、
細胞へのナトリウム流入を阻害し神経伝達が抑制することで、
麻痺を主徴とした症状を引き起こします。
ちなみに、フグ自身が中毒とならないのは、
このチャネルの構造がヒトと異なるためだそうです。
テトロドトキシンは加熱調理によっても消失しません。
また消化管より速やかに吸収され、食後30分~3時間程度で
下記のような経過をたどります。
「フグ毒の症状の経過」
1.口唇や舌、指先の痺れ
2.部分的な運動障害、吐き気・嘔吐、知覚障害、言語麻痺
3.全身の完全麻痺、骨格筋弛緩、発生不能、呼吸困難
4.意識消失、呼吸停止、心停止しやがて死亡
治療法は対症療法しかなく、特別な解毒薬も存在しません。
死亡例の半数近くは4時間以内に亡くなっていますが、軽快する場合12時間程度
で症状がなくなり、数日以内に麻痺も消えるそうです。
フグ毒は神経細胞を破壊するものではなく、
生体内で分解され無毒化されれば、症状は回復します。
そのため、救命には発症後の素早い呼吸管理が重要です。
少量かつ即効性があり、その毒は非常に危険ですが、
フグが美味しいのもまた事実です。
召し上がる際は、調理免許を持つプロのお店で。